歴しニア」報告 グローバル観点の松本・環太平洋言語圏!

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現生人類の東方拡がりは、出アフリカからベリンジアへ登山するように北上し、下山するように南米南端に拡がりましたので、「環太平洋」という認識は前回の金関博士の習俗文化論や 今回の松本博士の言語論 は自然なものですが、学界は未だ教育にこれを打ち出していないのが現状です。感覚的に 「極東」認識の欧州学者がリードしてきたために、導入が遅れた影響も一因でしょう。(以下、日本祖代研究会が理解し、各国の最新の研究成果を踏まえ付加した内容の紹介です)

元日本言語学会長の松本克己博士(昭和4年・1929~)は、6~7千年前まで遡るのが限界と言われる言語研究において、数万年前を視野に言語の起源をグローバルな観点で考究され、旧来の方法を超越して奥深い類縁要素を見出し、その物差しで世界の語族の時代影響(辺境に押しやられ、隔離地域に孤立)も考慮されて、言語類型地理論のアプローチにより、従来の北方・南方論でない画期的な論を導かれました。
結論的に言えば、 1.環太平洋沿岸(ユーラシア東岸地域とアメリカ大陸)の言語に類縁性を見出し、2.ユーラシア内陸の言語との明確な違いで区分され、3.西太平洋沿岸の北部群と南部群や米国の東部と西部、米新大陸太平洋側の帯状地の特質、チベット・ビルマ諸語の意義、消えた南方スンダランド地域やベーリング地域古語への考察などを明らかにされ、4.孤立語と言われ古さのSVO型などの特性を有する日本語の位置は北上した北部群で、かつこの環日本海諸語はアメリカ大陸へ北上継続したとされました。普通には北海道は含まれる(含まない事情無し)と考えるべきでしょう。また、5.ウラル・アルタイ、タミル、拡大シナ・チベット説など巷間幾多の日本語系統論、言語論の誤りを正されました。そして、日本語の遠い同型語を探し、起源を明らかにするためには、特に1.東南アジアと2.アメリカ先住民を研究するべきと述べられています。

さて、A米国ニューメキシコで、それまでの認識を数千年遡る2.3万年前の足跡発見により、当時は内陸の無氷回廊は氷床に覆われて不通であったことから沿岸・昆布ハイウェイ沿いの進入が新定説化しています。このB環太平洋・沿岸ということで、松本克己博士の同名の語族論ですが、あまり知られていません。言葉のルーツ研究は、時の経過で変形が原型を留めなくなる6~7千年前程度が限界と言われています。近代欧州語と違うということで粗雑にくくられたことに端を発する、戦前からのウラル・アルタイ説など 巷間幾多の日本語起源論は、実は殆ど学問的に役に立たない 古典的な比較方法などによる もので、批判と吟味に耐えない代物なの です。博士は数万年前の後期旧石器時代(祖代)を視野に、言語の内的に 根強く 存続する「類型的特徴」10数項目の要素の奥深い骨格のつながりである「類縁性」に着目し、個別言語でなく語族を対象に探究(例えばRとLを聞き語りで区別できるかどうか、一人2匹のように対象で異なるかどうかなど)され、その物差しに照らし「類型地理論」アプローチにより、前述の諸成果をあげられたわけです。太平洋の島々などのオーストロネシア語も環太平洋に含まれ、何よりもアメリカ南北新大陸が類似であることを見出している独創性であり、それまでの長く論議されてきた甲論乙駁の北方・南方起源諸説を超越しています。その内陸との概ねの違いとなる図の破線(言語比較要素によって線形に多少の差異)に着目すると、日本祖代研究会では最新の歴史研究成果も踏まえ、基本的に⓪アンダマン海から➃環日本海諸語、⑤「米臨海古語」は新語で上書きという「花づな」のような海の連なり「花綵海」沿岸に、+内陸高地の特にチベット・ビルマ東部が加わっていると理解しています。

これは、男系Y遺伝子の最古 D 型が、アンダマン諸島・チベット・日本で共通に高い頻度で現れて不思議とされてきた事を普通に理解できるものとなっています。Dが残ったのは、人里離れた高山か離島というわけです。更に、この 「花綵海」 沿岸史観は、チベット・ビルマについて、学界に見られる北ヒマラヤの内陸ルートではなく、インド洋沿岸から河川沿いを遡行北上した沿岸系なのではと言語の類縁性の面からも考えさせ、アジア史において重要な意味を有しています。いずれにしても、「最初のアメリカ人」は、3万年前頃、この「花綵海」ルートからの第1波は五月雨の多波であった(言語数の膨大・語族多数から)と考えられ、その万年後、無氷回廊が開いてから影響力の強い種族が、第2波で 陸続と 進入し拡がったとする重要な歴史説です。問題は、内陸言語圏の者がシベリア~ベリンジア~米大陸に入って行って、DNAはともかく、先住の太平洋沿岸圏の特徴に変わっていったと考えられることです。この環太平洋に着目した論について、学界は第1級の研究者である金関博士の習俗文化論、松本博士の言語圏論を子供・学生に教え世界に発信、国際共同研究を主導して深化させるべきです。

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