(新説)日本祖人が最初に米新大陸に渡ったのであろう①

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前回は、現生人類が出アフリカを果たし東進後の古い東南アジアSundaland地域の当時の人々のDNA(今は大分違います)と南米アマゾンの古い部族のものが他のどこよりも近いということから、北海道からアラスカ南部に至る進入のルートと時期について、結論的に当サイトの仮説(下図、2.5万年前頃でその時期の海岸線沿い)を紹介しました。

結論的に言いますと、寒いベーリング海地域を越えれたのかという一番の問題について、①沿岸地域の気温に着目しますと実は思いのほか状況が北海道太平洋岸(道内最古の遺跡)と差があまりない。従って、地図を敢えて北海道とベーリング海域を近くしています(実は思いのほかもっと近いのですが、図が分からなくなりますので)。

②日本列島の北上がとても良い準備行動となっていた。③進出して行く行程と当時の寒期・緩和期の状況が、納得できるマッチしています。

更に幸いにも、北海道~シベリア東端沿岸 と アラスカ~米国北西海岸は、図の真ん中(ベーリング海峡部~ハワイ西方)で折れば鏡面対象になっている(大原昌宏・北大総合博物館教授)と言われる、動植物の近似性もあり生活に慣れ易いです。

縄文人が、その土器出現をもって16,500年前頃からと定義されていますので、それ以前に日本列島から米新大陸に沿岸沿いに進出していった人々は、そのまま日本祖人・海人型と言えます。

そして、日本列島に縄文人が出現した以降、既にアラスカを越えて米西海岸から南米の西沿岸・アマゾンへ進出していった人々は日本祖人の子孫であり、縄文人と同時代のポスト日本祖人とでも呼ばれるべきでしょう。

日本列島には、2万年前頃から、寒冷降雪に適応した狩猟系の北方適応型の人々が北(樺太)から西(東アジア平野)から進入して来ていますので、列島であるいはベーリング海地域に留まって暮らしていた日本祖人は、それらの人々に追われたり混血したり棲み分けたりいろいろあったでしょう。

そしてその後は、列島縄文人、千島ベーリング海域は後日本祖人あるいはエスキモー・イヌイット祖人などと呼ばれていくことになります。

南米に進入したポスト日本祖人のごく一部はアマゾンに今も残り、途中の後日本祖人は最早融けて分からなくなっているようです。

さて、

3万年前頃に北海道から北上していった南方海人型の人たちの移動・進出については、基本的にルート上の焦点は、寒さが最も厳しいベーリング海域の沿岸を移動進入する細部ルート・時期になり、下図となります。

通説の人類移動は、発見された遺跡をもとに図のベーリング地峡中央のNativeインディアンのBルートと、少し遅れたと言われるエスキモー・アリュート族のCルートですが、これは既に寒冷降雪地に適応したDNA変化を起こした北方適応型の人々でしたでしょう。

アラスカで最も古い遺跡が見つかってるのは1.5万年前頃のアラスカ・ユーコン川畔のものであり、東方から島々を伝って行ったとみられるアリューシャンでは9千年前の遺跡が発見されています。

この時期は最終氷期最寒冷期LGM(2万年前頃)が終わった後の温暖化期のもので、寒いアラスカや孤立的なアリューシャンで生活し得ていたことはよく理解できます。

ところが問題は、LGMが終わった後のこの温暖期に初めてアラスカへ進入したとすると、遥か南の南米チリのモンテ・ベルデ遺跡に到達し生活した(1.4万年前頃)のが早過ぎ、ましてそれより早いとみられるアマゾン3古部族(南方型)の存在が理解できなくなります。

更に、最寒期にベーリング海域を移動し進入して行ったのもあまりに厳しいです。

従って、最寒のベーリング海地域を経たのはLGMの前の寒冷最緩和期2.5万年前頃が最適であり、北海道太平洋岸(3万年前頃)出発からの移動とLGM前にアラスカ湾の氷床近傍を抜け、南米に到達(1.5万年前以前)していたと考えればトライした多くの人たちのうちの最適な行程が導かれます。(図中の丸青色3万年、2万年は寒い時期、丸橙色2.5万年は寒冷の最緩和期です。)

また、ベーリング海域までは、千島列島経由のαルートとオホーツク海回りのβルートのいずれが早いかが一応考えられますが、南方海人型の移動としては暖かい太平洋岸を北上し得た、距離の短いαルートとしてよいでしょう。

ルート上のこの古い人の生活遺跡は、現在の数十mの海面上昇下で発見されない沿岸地域にあり、人々は後から進入してきた強い狩猟族である北方適応型に追われたりして分からなくなっているのでしょう。

いずれにしましても、米新大陸の中にいくつか渡って行ったとみられる物や時期の不思議な遺物があるにも拘わらずこれまで相手にされてきませんでしたが、このように行程を考えますと、南方海人型の人たちが渡って行ったのだろうと考えられます。

次回は、この米新大陸進入に関わる個々の状況について説明していきます。

(了)

 

 

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