驚きの明治人鳥居龍蔵と“北海道登場”の「最初のアメリカ人」に関する米国最新動向

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図左、明治人の東京帝大・鳥居助教授が、人類史最後の大きな謎「最初のアメリカ新大陸人」は“誰が何処から”に関する米国の専門家たちの最新の議論に、長い間の広域のフィールドワーク経験に基づく北千島の遊動海民「ルートン」(第1アイヌ)や東部シベリア・ベリンジア西端の海岸族「オンキロン」などに関する有益な研究成果を携えて参加できるレベルであることが驚きです。更に驚きは、議論を聞いていてそれほどビックリすることもなく、フムフムとうなずくだろうと想像できることです(源の人類が20万年前にアフリカで誕生して世界に散らばり、日本列島へは約4万年前頃にフネで北部九州に来た、DNAというものがある、などには驚きますが)。

明治23年に北千島の現地調査を行い、現地民の自称ルートン(第1アイヌ)の暮らしぶりが石器・骨器を使用し、北部千島、カムチャッカ南部を”遊動”して竪穴住居に住んでいることから、南から北上した「よほど古い」人たちだと認識するに至り第1・第2アイヌ(本道)と命名した慧眼です。北千島調査の直後は、現地民が(アイヌ伝承の)コロボックルは千島で聞いたことがないとの答えから居なかったとしたことが喧伝され、現在も学界ではおとぎ話扱いですが、大正6年には逆に存在の確信に変わり活字で発表しています。特に注目すべきは、シベリア東端(ベリンジア西端)に、やはり石器や竪穴住居の痕跡を残した先住海岸族オンキロンに強い関心を示し、解明の重要性を指摘しています。このことは、どこにも記述は見あたりませんが、「最初のアメリカ人」問題に意識があったのではと思わせられるほどです。図右、昨年9月のニューメキシコにおける古い足跡が、層位・種子等の分析から23,000年前と発表され、崩れていた定説「無氷回廊ルート」ではなく、益々沿岸ルートに関心が強まっていますが、アイダホ州立大Speer博士のNet動画説明でもそれらが語られ、質疑ではHokkaido、日本が登場しています。

研究視野がベリンジアに達していた明治人鳥居龍蔵助教授は、大正・昭和初期に既に現在(2021年9月)の最新の論議に参加できるレベルであった驚きなのです。令和の今、日本では何の説も発表がないどころか、論議さえなく、学校では未だ全く何も教えられていないのにです。現在、なぜこのような状況になっているのか、学界の大きな問題です。

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